古物商許可の審査に落ちる理由は?許可されない条件と、許可されなかったときの対応
古物商許可の審査に落ちる(許可されない)ことはあります。原因は大きく3つです。
- 法律で「許可を受けられない」と定められた人に当たる(古物営業法第4条)
- 営業所や管理者の条件を満たせない
- 申請書類が足りない、または内容に誤りがある
1つ目は試験の点数ではなく、法律の条件で判断されます。許可されなかった場合、申請手数料は返還されないと案内している県警があります。不安な点は、申請する前に管轄の警察署で確認しておきましょう。
この記事では、許可されない原因の分け方、第4条の欠格事由、営業所・管理者の注意点、許可されなかったときの扱いを、警察などの公的な案内をもとに説明します。申請の手順や必要書類は「古物商許可の取り方」で詳しく説明しています。
※2026年10月30日時点で確認した公的な案内をもとにしています。手続きの細部は都道府県によって違うことがあるため、申請先の警察署の案内を確認してください。
古物商許可の審査に落ちることはある?
あります。古物商許可は公安委員会が審査し、許可しないときは、理由を書いた書面で申請者に通知します(古物営業法第5条第3項)。
許可するかどうかを判断する基準(審査基準)の例として、滋賀県公安委員会が公表しているものがあります。この審査基準では、古物営業法第4条の欠格要件に当たらないことなど、古物営業法を遵守し、適正な営業が期待できるときに許可するという趣旨が示されています。
古物商許可は、試験に合格して取るものではありません。鑑定士などの民間資格も、許可の条件ではありません。資格と許可の違いは「買取業を始めるのに資格は必要?」で説明しています。
許可されない原因は3つに分けて考える
「審査に落ちる」と一口に言っても、原因によって性質がまったく違います。次の3つに分けると、自分がどこを確かめればよいかが分かります。
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原因 |
何が問題になるか |
確認先 |
|---|---|---|
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欠格事由に当たる |
法律が「許可してはならない」と定める条件に、本人・法人・法人の役員などが当たる |
第4条の条文、管轄の警察署 |
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営業所・管理者の条件 |
営業所として認められない場所で申請している、管理者を置けない |
管轄の警察署(営業所の条件は申請先の案内で確認。例:新潟県警察は、一定期間の契約と独立して管理できる構造設備が必要と案内) |
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書類の不足・誤り |
必要な書類がそろっていない、記載漏れや書き間違いがある |
管轄の警察署、都道府県警察の案内 |
欠格事由は、期間が過ぎるのを待つなど、申請の準備では変えられない事情が中心です。営業所・管理者と書類は、申請前に警察署へ相談して確かめられる事柄です。
法律で許可を受けられない人(古物営業法第4条の欠格事由)
古物営業法第4条は、公安委員会が許可をしてはならない場合を11項目(第1号〜第11号)定めています。内容ごとに分けて紹介します。
本人の状況に関するもの
- 破産手続開始の決定を受けて、復権を得ていない人(第1号)
- 住居の定まらない人(第5号)
- 心身の故障により古物商の業務を適正に行うことができない人として、国家公安委員会規則で定める人(第8号)
- 営業に関して、成年者と同じ行為能力を持たない未成年者(第9号)。ただし、古物商または古物市場主の相続人で、その法定代理人が第1号〜第8号と第11号のいずれにも当たらない場合は除かれます
刑罰・暴力団・許可の取消しに関するもの
- 拘禁刑以上の刑に処せられた人、または古物営業法第31条に規定する罪や、刑法の窃盗(第235条)・背任(第247条)・遺失物等横領(第254条)・盗品等の有償譲受けなど(第256条第2項)の罪で罰金刑に処せられた人で、刑の執行を終えるなどしてから5年を経過していない人(第2号)
- ※刑法の改正(令和4年法律第67号。2025年6月1日施行)で、懲役と禁錮は廃止され、「拘禁刑」が設けられました。改正前に懲役・禁錮の刑を受けた人も、この項目に当たるかの確認が必要です。扱いは、申請前に管轄の警察署に確認してください。
- 集団的に、または常習的に暴力的不法行為などを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある人(第3号)
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律による命令や指示を受けてから、3年を経過していない人(第4号)
- 古物営業法第24条第1項の規定により許可を取り消されてから、5年を経過していない人(第6号)。取り消されたのが法人の場合は、取消しに関する聴聞の期日と場所が公示された日の前60日以内にその法人の役員だった人で、取消しの日から5年を経過していない人も含みます
- 古物営業法第24条第1項の規定による許可の取消しに関する聴聞の期日と場所が公示された後、取消しなどが決まるまでの間に、営業の廃止を理由に許可証を返納した人で、返納から5年を経過していない人(第7号)。営業の廃止に相当な理由がある人は除かれます
管理者・法人の役員に関するもの
- 営業所ごとに管理者を選任すると認められないことについて、相当な理由がある人(第10号)
- 法人で、役員の中に第1号〜第8号のいずれかに当たる人がいるもの(第11号)
法人の役員について問われるのは第1号〜第8号です。第9号(未成年者)と第10号(管理者の選任)は、第11号の対象に含まれていません。
「5年」などの期間をいつから数えるかや、例外の条件は、項目ごとに決まっています。自分が当てはまるか迷う場合は、e-Gov法令検索で古物営業法第4条の条文を確認するか、申請前に管轄の警察署に相談してください。
なお、第4条の項目には、資産や収入の額、買取の経験の有無といった条件は含まれていません。
営業所・管理者の条件で止まるケース
営業所として認められない場所
古物商許可の申請書には、営業所の名称と所在地を記載します(古物営業法第5条第1項第2号)。新潟県警察の案内では、営業所として申請する場所には一定期間の契約と、独立して管理できる構造設備が必要だとしています。短期間で借りた店舗や空き地、駐車場などは営業所に当たらないため、申請できないとも案内しています。
自宅や賃貸物件を営業所にする場合や、営業所を設けない場合に何が必要かは、申請先の警察署で確認してください。店舗を持たずに買取を始める場合の準備は「出張買取は無店舗で開業できる?」で説明しています。
管理者を置けない・管理者になれない
古物商は、営業所ごとに、業務を適正に行うための責任者として管理者を1人選任しなければなりません(古物営業法第13条第1項)。管理者については、次の2つを分けて確認します。
- 申請者が管理者を選任できるか(第4条第10号):営業所ごとに管理者を選任すると認められない相当な理由がある場合は、申請者自身が欠格事由に当たります。警察庁の解釈運用基準は、その例として、管理者にする人を具体的に決めていない場合を挙げています。
- 管理者にする人が条件を満たすか(第13条第2項):次の人は管理者になれません。
- 未成年者
- 第4条第1号〜第7号のいずれかに当たる人
- 心身の故障により管理者の業務を適正に行うことができない人として、国家公安委員会規則で定める人
申請者本人が管理者を兼ねる場合も、管理者としてこれらに当たらないかを確認します。管理者の役割は「買取業を始めるのに資格は必要?」の「営業所ごとの管理者」の節で説明しています。
書類の不足・誤りは「欠格事由」とは別の問題
書類が足りない、記載が間違っているといった問題は、第4条の欠格事由には含まれていません。「許可を受けられない人」に当たるかどうかとは、別の問題です。
行政への申請の扱いについて、行政手続法第7条は、申請が届いたら行政庁は遅滞なく審査を始めると定めています。そのうえで、形式上の要件に合わない申請については、次のどちらかの対応をとるとしています。形式上の要件とは、たとえば申請書の記載事項に不備がないことや、必要な書類が添付されていることです。
- 申請者に相当の期間を定めて補正(不足や誤りを直すこと)を求める
- 許可を拒否する
つまり、書類の不足や記載漏れ・書き間違いは、補正を求められて直せば審査が続く場合があります。欠格事由に当たる場合は、書類を直しても許可を受けられません。この点が大きく違います。
一方、意図的に事実と異なる内容を書くことは、単なる記載漏れや書き間違いとは性質が違います。申請書や添付書類は、事実どおりに記載してください。
書類の不足に早く気づくには、申請書を出す前に管轄の警察署で相談し、必要な書類と書き方を確かめておくのが確実です。必要書類の一覧と入手先は「古物商許可の取り方」にまとめています。
審査では何を確認される?
審査では、前に紹介した審査基準のとおり、第4条の欠格要件に当たらないかなどが確認されます。
営業所を現地で確認するかどうかや、その方法は、申請時に管轄の警察署に確認してください。
許可されなかったらどうなる?
公安委員会から、理由を書いた書面で通知されます。手数料は返還されないと案内している県警があります。もう一度申請するかは、通知の理由を確認し、申請先に相談して判断します。
不許可の通知と理由
公安委員会は、許可をしないときは、理由を書いた書面で申請者に通知しなければなりません(古物営業法第5条第3項)。警察庁の解釈運用基準は、この理由は具体的な事実を示して書くこととしています。通知に書かれた理由を確認することが、次の対応の出発点になります。
申請手数料は戻る?
許可されなかった場合でも、手数料は返還されないと案内している県警があります。
- 山梨県警察:不許可となった場合や、申請を取り下げた場合でも、手数料は返却できないと案内しています。
- 新潟県・島根県の警察:許可にならなかった場合でも手数料は返却されないとしています。
ほかの都道府県の扱いは、申請先の警察署の案内で確認してください。新規申請の手数料は、神奈川県警察・山梨県警察の案内では19,000円です。
もう一度申請できる?
第4条の欠格事由には、「以前に不許可になったこと」そのものは含まれていません。ただし、もう一度申請して許可されるかどうかは、不許可になった理由によって変わります。
- 欠格事由に当たる場合:期間の経過などにより、その事情が解消しているかがポイント
- 営業所や書類が原因の場合:その点を見直したかどうか
通知の内容を確認したうえで、申請先の警察署に相談してください。もう一度申請する場合の手数料も、申請先で確認しましょう。
申請前に確認しておきたいこと
- 欠格事由と管理者の要件に当たらないか
- 個人で申請する場合:申請者本人が、第4条の欠格事由に当たらないか
- 法人で申請する場合:法人自体が第4条の各号(第6号・第7号など)に当たらないか。役員の中に、第4条第1号〜第8号に当たる人がいないか(第11号)
- 管理者にする人が、第13条第2項の「管理者になれない人」に当たらないか
- 営業所ごとに管理者を選任できるか(第4条第10号)
- 営業所にする場所が、申請先の警察が案内する営業所の条件に合っているか
- 必要書類がそろい、記載漏れや書き間違いがなく、事実どおりに書いているか(古物商許可の取り方)
- 不明な点を、申請前に管轄の警察署へ相談したか
書類の作成や提出は、自分で行うことも、行政書士に依頼することもできます。依頼する場合は、費用と依頼できる範囲を事前に確認してください。
よくある質問
古物商許可の審査は厳しい?
試験はなく、第4条の欠格事由に当たらないかなどを確認して判断されます。営業所・管理者の条件や書類を申請前に確かめておけば、何を準備すればよいかが分かります。
前科があると古物商許可は取れない?
すべての前科が対象ではありません。拘禁刑以上の刑、または第4条第2号が定める罪による罰金刑を受け、刑の執行を終えるなどしてから5年を経過していない場合が欠格事由です。2025年6月1日の刑法改正より前に懲役・禁錮の刑を受けた人も、当たるかどうかの確認が必要です。自分が当てはまるかは、条文を確認するか管轄の警察署に相談してください。
資産や収入が少ないと審査に落ちる?
第4条の欠格事由には、資産や収入の額の条件は含まれていません。審査で何を確認するかは、都道府県の公安委員会が公表している審査基準で確認できます。申請先の警察署に問い合わせることもできます。
まとめ
- 古物商許可の審査に落ちることはあります。原因は「欠格事由」「営業所・管理者」「書類の不足・誤り」の3つに分けて考えます。
- 欠格事由は古物営業法第4条に11項目あります。当てはまるか迷う場合は、条文と申請先の警察署で確認してください。
- 許可されなかった場合も手数料は返還されないと案内している県警があります。申請前の確認が大切です。
- 許可されなかったときは、通知の理由を確認し、申請先に相談してから、もう一度申請するかを判断します。
買取の仕事をフランチャイズで始める場合の許可の考え方は「買取業を始めるのに資格は必要?」で説明しています。
参考にした公的資料
- e-Gov法令検索「古物営業法」(第4条、第5条第1項第2号、第5条第3項、第13条、第24条第1項)https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
- e-Gov法令検索「行政手続法」(第7条)https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000088
- 法務省「令和7年版 犯罪白書」第2編第1章1 https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_2_1_0_1.html
- 警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について」(令和8年5月14日)https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/seiki/20260514kobutsukaishaku.pdf
- 神奈川県警察「古物営業許可申請手続」(2026年7月10日更新)https://www.police.pref.kanagawa.jp/tetsuzuki/eigyokankei/kobutsu/mesd0019.html
- 山梨県警察「古物営業申請」(2026年10月29日更新)https://www.pref.yamanashi.jp/police/p_seikankyo/kobutsu_sinsei.html
- 新潟県「古物商の許可等申請」(2025年10月16日更新)https://www.pref.niigata.lg.jp/site/kenkei/tetuzuki-keibigyou-1-keibigyou-kobutu1-keibigyou-kobutu4-keibigyou-kobutu4.html
- 新潟県「古物営業等申請様式」(2025年10月16日更新)https://www.pref.niigata.lg.jp/site/kenkei/tetuzuki-keibigyou-1-keibigyou-kobutu1-keibigyou-kobutu3-keibigyou-kobutu3.html
- 島根県警察「古物営業等に関する申請・届出」https://www.pref.shimane.lg.jp/police/05_application_and_procedures/business_licensing/h2509_kobutu_sinsei/youshiki.html
- 滋賀県警察「審査基準」(令和7年6月28日作成)https://www.pref.shiga.lg.jp/site/police/sinsa/data/doc50/50000140/50000140.html
(情報の確認日:2026年10月30日)
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