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買取業を始めるのに資格は必要?古物商許可の仕組みと、民間資格の位置づけ

中古品などを買い取って販売する事業を営業として行うには、原則として、古物営業法に基づく「古物商許可」が必要です。古物商許可の基準に、鑑定士などの民間資格の取得は含まれていません。ただし、取引の内容によっては許可が不要とされる場合があり、取り扱う品目や業態によっては、古物商許可とは別の許可や規制が関わることもあります。

この記事は、買取業の開業や参入を検討している方に向けて、買取業に必要な許可と、民間資格の位置づけを解説します。

※法令の記載は、2026年10月22日時点でe-Gov法令検索に掲載されている古物営業法(2025年6月1日施行の改正を反映した版)と、古物営業法施行規則(2026年8月12日施行の改正を反映した版)に基づいています。

中古品の買取を営業として行うには「古物商許可」が必要

古物営業法は、古物の売買などを営業として行う人に対して、都道府県公安委員会の許可を受けることを求めています(古物営業法 第3条)。

古物営業法が定める「古物営業」(第2条第2項)のうち、買取業に関係するのは、古物を売買し、交換し、または委託を受けて売買・交換する営業です(同項第1号)。この記事では、古物営業のうち、買取業に関係する第2条第2項第1号の営業を中心に説明します。中古品など、法律上の「古物」に当たる物品を買い取って販売する事業は、古物を売買する営業として、通常この古物営業に当たります。

ただし、法律には「古物」と「古物営業」の定義と、許可が不要になる除外の定めがあります。中古品が関わる取引であれば、すべてに無条件で許可が必要になるわけではありません。

「資格」と「許可」は何が違うのか

「古物商の資格」と呼ばれることもありますが、古物商許可は、法律上は都道府県公安委員会が与える「許可」です。

許可するかどうかは、申請者が古物営業法第4条に定める欠格事由(許可を受けられない事情)に当たらないかなどをもとに審査されます。古物商許可の基準に、試験の合格は定められていません。警視庁の審査基準は、第4条の欠格要件に該当しないなど古物営業法を守り、適正な営業が期待できるときに許可するとしています。

欠格事由の主な例は、許可を受けられない人(欠格事由)で紹介します。

古物商許可が必要になる取引・ならない取引

古物営業法でいう「古物」とは、一度使用された物品と、使用されていない物品で使用のために取引されたもの、またはこれらに幾分の手入れをしたものをいいます。鑑賞的美術品や商品券・乗車券・郵便切手なども含まれ、政令で定める大型機械類(船舶、航空機、工作機械など)は除かれます(第2条第1項)。

一方で、古物を売買する営業であっても、次の営業は「古物営業」から除かれています(第2条第2項第1号)。

  • 古物を売却することのみを行う営業
  • 自分が売却した物品を、その売却の相手方から買い受けることのみを行う営業

警察庁の解釈運用基準は、さらに次のような考え方を示しています。

  • 無償で、または引取料を受け取って引き取った古物を、修理・再生などして販売する形態のリサイクルショップは、「古物を売却すること」のみを行う営業として規制の対象外になる。ただし、古物の買取りも行っている場合は、古物営業に当たる。
  • 営利を目的としない者は、営業の内容が同じようなものであっても、古物営業に当たらない。その例として、古物を買い取って第三者に寄付したり、無償で譲渡したりする場合が挙げられている。営業に当たるかどうかは、行為の実情に即して客観的に判断される。
  • 「営業」とは、一般に営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことをいい、本業だけでなく副業も含まれる。

警察庁の解釈運用基準は、リサイクルショップやバザー、フリーマーケット、インターネット上のフリマサイトなどでの取引が古物営業に当たるかどうかは、取引の実態や営利性などに照らして個別具体的に判断する必要があるとしています。ご自身の予定している取引については、事前に、営業所を置く予定地を管轄する警察署に確認してください。

許可を受けずに営業した場合

古物営業法第3条の許可を受けずに、同条の許可が必要な古物営業を営んだ者は、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となります(第31条第1号)。偽りその他不正の手段で許可を受けた場合も、同じ罰則の対象です(同条第2号)。

なお、古物商許可とは別の許可や規制が関わる場合もあります。たとえば、家庭から出る廃棄物(ごみとして処分する不用品)を回収するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可や委託が必要で、古物商許可では回収できないと環境省は案内しています。また、事業者が消費者の自宅など店舗以外の場所で物品を買い取る取引は、原則として特定商取引法の「訪問購入」に当たり、書面の交付やクーリング・オフなどのルールが定められています。ただし、規制の対象外とされる物品や、適用が除外される取引もあります。詳しくは消費者庁の案内を確認してください。

古物商許可の申請先と手続きの流れ(概要)

古物商許可を出すのは都道府県公安委員会で、申請書は、主たる営業所を管轄する警察署を経由して提出します。

許可を出す機関・申請書の提出先・窓口

古物商許可の手続きでは、次の3つが法律上区別されています。

  • 許可を出す機関:都道府県公安委員会(古物営業法 第3条)
  • 申請書の提出先:主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会(古物営業法 第5条第1項)
  • 提出の経路:所轄の警察署長を経由して提出する(古物営業法施行規則 第1条の3第2項)

手続きの詳細の確認先

申請書を提出しただけでは、まだ古物営業を始めることはできません。許可を受けてから営業を始めます。

必要な書類、手数料、審査にかかる期間などの手続きの詳細は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県警察が案内しています。東京都の場合は、警視庁「古物商許可申請」で確認できます。

許可を受けられない人(欠格事由)

古物営業法第4条は、公安委員会が許可をしてはならない場合(欠格事由)を11号にわたって定めています。主な例は次のとおりです。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(第1号)
  • 住居の定まらない者(第5号)
  • 法人で、役員のうちに第1号から第8号までのいずれかに該当する者がいる場合(第11号)

このほかにも、一定の刑に処せられた者や、許可を取り消された者などに関する定めがあります。それぞれに期間や条件、例外が定められているため、詳しくはe-Gov法令検索で古物営業法第4条の原文を確認するか、管轄の警察署に相談してください。

許可を受けた後の表示義務:標識と許可番号

古物商許可を受けた後に守るべき義務は、ほかにもあります。ここでは、許可番号などの表示に関する義務を紹介します。

営業所ごとの標識の掲示(第12条第1項)

古物商は、営業所ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければなりません(第12条第1項)。

ウェブサイト上での氏名・許可番号等の表示(第12条第2項)

古物商は、原則として、次の事項をインターネット上で公衆が閲覧できるようにしなければなりません(第12条第2項)。

  • 氏名または名称
  • 許可をした公安委員会の名称
  • 許可証の番号

この義務は、インターネットで古物を取引する事業者に限られたものではありません。第12条第2項は、古物商一般を対象としています。

ただし、事業の規模が著しく小さい場合などは、この義務が除かれます。具体的には、常時使用する従業者の数が5人以下である場合、または自らが管理するウェブサイトを持っていない場合は、この義務が除かれます(施行規則第13条の2)。また、警視庁の案内では、インターネット上で古物を掲示して取引の申込みを受ける方法(インターネット取引)を用いる「特定古物商」は、この除外にかかわらず掲載が必要とされています。

買取業で使われる鑑定士・査定士の資格は、古物商許可に必要?

古物商許可の基準に、鑑定士などの民間資格は含まれていない

古物商許可の基準を定める古物営業法第4条には、鑑定士などの民間資格の取得を求める定めはありません。これらの資格を持っていることは、古物商許可の条件になっていません。

買取業界で使われる「鑑定士」「査定士」といった呼び方は、法律上の許可とは別のものです。これとは別に、業界の団体などが、取り扱う品目の知識を学ぶ研修や資格認定、教育プログラムを行っている例があります。

業界団体などが行う資格・教育プログラムの例

主催団体の公式サイトで内容を確認できたものを、例として紹介します。取得を勧めるものではありません。受講・取得の条件は各団体の案内で確認してください。

協会基準判定士

  • 主催・運営:一般社団法人 日本流通自主管理協会(AACD)
  • 公式サイトで確認できた内容:会員企業の社員を対象にした、並行輸入ブランド品・中古ブランド品の知識の研修と資格認定(受講対象に制限あり。下記を参照)

グラジュエイト ジェモロジスト(GG)プログラム

  • 主催・運営:アメリカ宝石学会(GIA)
  • 公式サイトで確認できた内容:ダイヤモンドとカラーストーンについての総合的な知識を学ぶ教育プログラム

協会基準判定士は、日本流通自主管理協会の会員企業に勤務し、その企業の推薦を受けた社員だけが受講できます。会員企業に所属していない人や一般の人は受講できません。このように受講の対象が限られているものもあるため、開業前に取得を考える場合は、受講の条件を先に確認してください。

営業所ごとの管理者:選任義務と、知識等を得させる努力義務

古物営業法は、営業所ごとの「管理者」について定めています。

管理者の選任義務(第13条第1項)

古物商は、営業所ごとに、その営業所の業務を適正に実施するための責任者として、管理者を1人選任しなければなりません。

管理者になれない者(第13条第2項)

未成年者や、第4条第1号から第7号までのいずれかに該当する者などは、管理者になることができません。

知識等を得させる努力義務(第13条第3項)

古物商は、管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要なものとして国家公安委員会規則で定める知識・技術・経験を得させるよう努めなければなりません。この努力義務を負うのは、管理者本人ではなく古物商です。

資格や経験がない場合の始め方:独立開業とFC加盟

買取業を始める方法には、自分で事業を立ち上げる「独立開業」と、本部と契約して事業を始める「フランチャイズ(FC)加盟」があります。買取店などで働いて経験を積んでから開業する人もいます。

独立開業では、仕入れ・販売の方法や、知識・経験の身につけ方を自分で決めます。フランチャイズに加盟する場合は、本部によって加盟の条件、費用、研修や支援の内容が異なります。加盟を検討する際は、複数の本部の資料で、条件と支援の内容を確認してください。

フランチャイズに加盟する場合も、加盟店が自らの事業として古物営業法第2条第2項第1号に当たる営業を営むのであれば、その事業者(個人または法人)が古物商許可を受ける必要があります(第3条)。古物営業法は、古物商が自分の名義で他人に古物営業を営ませること(名義貸し)を禁じています(第9条)。契約の形によって扱いが異なることもあるため、加盟を検討する本部と、管轄の警察署に確認してください。

まとめ

  • 中古品などを買い取って販売する事業を営業として行うには、原則として、古物営業法に基づく古物商許可が必要です。
  • ただし、古物の売却のみを行う営業など、法律や警察庁の解釈運用基準で古物営業に当たらないとされる場合があります。個別の取引は、管轄の警察署に確認してください。
  • 古物商許可の基準に、試験の合格や、鑑定士などの民間資格の取得は含まれていません。
  • 古物商は、営業所ごとに管理者を選任する義務と、管理者に必要な知識等を得させる努力義務を負います。
  • 取り扱う品目や業態によっては、古物商許可とは別の許可や規制が関わります。
  • 申請書は、主たる営業所を管轄する警察署を経由して提出します。必要な書類や手数料などの詳細は、都道府県警察の案内で確認してください。

参考にした公的資料・公式情報

(情報の確認日:2026年10月22日〜23日)

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