遺品整理のフランチャイズの選び方|本部を比べるポイントと加盟前の確認事項
遺品整理のフランチャイズは、本部によって、加盟店が担う業務の範囲、許可が必要な業務を誰が担うか、支援の中身、費用のかかり方が異なる場合があります。加盟先を選ぶときは、複数の本部から条件を書面で受け取り、同じ観点で並べて比べることが大切です。
この記事では、本部を比べるときの6つの確認ポイントと、費用・収支例の見方、資料請求から契約までの進め方を解説します。遺品整理業の開業全般(資格・許可の考え方、開業資金、未経験からの始め方)は、「遺品整理業を開業するには?資格・許可の考え方、開業資金、未経験からの始め方」で解説しています。
遺品整理のフランチャイズとは
フランチャイズ加盟は、本部と契約し、本部のブランドやノウハウ、支援を受けて開業する方法です。自分で一から事業を立ち上げる独立開業と比べると、本部の集客支援や研修を利用できる場合がある一方、加盟金やロイヤリティなどの費用がかかる場合があり、本部の定めたルールに従って運営します。費用の有無や金額、支援の範囲は本部ごとに確認が必要です。
独立開業とフランチャイズ加盟の違いは「遺品整理業を開業するには?」で詳しく比べています。この記事では、フランチャイズを選ぶと決めた人が、加盟先の本部をどう比べるかを中心に解説します。
本部によって何が違うのか
遺品整理の依頼には、仕分け、貴重品の捜索、搬出、処分・運搬、買取、清掃、供養の手配など、性質の違う業務が含まれることがあります(業務の内容は「遺品整理業を開業するには?」で解説しています)。
本部を比べるときに見たいのは、これらの業務を誰が担うかです。
- 加盟店が自分で行う業務はどれか
- 本部や提携先に任せる業務はどれか
- 本部の研修や支援は、どの業務を対象にしているか
この分担や支援の範囲、費用の構造は、本部によって異なる場合があります。同じ「遺品整理のフランチャイズ」という名前でも中身が同じとは限らないため、知名度や広告の印象だけで決めず、次の6つの観点で確かめましょう。
本部を比べるときの6つの確認ポイント
以下は、説明会や面談で本部に質問し、できるだけ書面で回答を受け取りたい項目です。本部ごとに同じ質問をして、答えを並べると比べやすくなります。確認用のチェックリストは、後半の「本部を比べて選ぶ進め方」に用意しています。
① 担う業務の範囲と、許可が必要な業務を誰が担うか
遺品整理では、業務によって関係する許可が違います。国民生活センターは、遺品や不用品を廃棄物として収集・運搬する事業者について、市町村から委託を受けた事業者であるか、市町村長から一般廃棄物処理業の許可を受けている必要があると説明しています。また、遺品を買い取る事業者には古物商の許可が必要であるとして、事業者選びの際に確認するよう呼びかけています。
(出典:国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」2025年10月30日公表)
総務省行政評価局の調査(令和2年3月公表)では、一般廃棄物収集運搬業の許可の取得には、市町村の政策判断が関係するとされています。
また、調査に協力した69事業者のうち、35事業者はこの許可を取得していませんでした。これらの事業者からは、許可事業者への依頼や紹介など、廃棄物の取り扱いに関する複数の方法が報告されています。
ただし、総務省は調査で報告された個々の取り扱いについて、適法性を認定しているわけではありません。業務の分担が制度上認められるかどうかは、管轄の窓口で確認してください。
(出典:総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」令和2年3月)
業務の分担は、加盟前に必ず確かめておきたい点です。本部には、次のことを質問しましょう。
- 加盟店が自分で行う業務はどれか
- 不用品の収集・運搬は誰が担うのか(加盟店か、本部か、提携する事業者か)
- 加盟店が自分で遺品の買取を行う場合、必要な許可とその取得について、本部はどう案内しているか
- 業務の分担の形について、本部は管轄の窓口でどのように確認しているか
フランチャイズに加盟しても、それだけで許可の問題が解決するとは限りません。自分が行う業務に必要な許可や、提携先との分担の形が制度上認められるかは、本部の説明に加えて、管轄の窓口でも確認してください。許可の考え方は「遺品整理業を開業するには?」でも解説しています。
② 研修の中身
未経験から始める場合、研修で何を学べるかは特に重要です。本部には次の点を確認しましょう。
- 研修の期間と、どこで受けるか
- 見積もり、作業の段取り、仕分け、査定、接客など、どの業務を学べるか
- 開業後に相談できる窓口や、現場への同行などの支援があるか
研修の有無だけでなく、自分が担う業務を一人で行えるようになる内容かどうかを見ましょう。
③ 集客支援・本部紹介案件と、案件のつなぎ方
開業後に依頼が来るかどうかは、事業の成否を大きく左右します。集客について、次の点を確認しましょう。
- 本部がどのような方法で集客しているか(広告、ウェブサイト、紹介など)
- 本部から紹介される案件があるか。ある場合、手数料などの条件や、都合が合わないときに断れるか
- 自分で獲得した案件と、本部から紹介された案件の扱いに違いがあるか
あわせて、加盟店が受けた遺品整理や片付けの相談を、本部や提携先にどうつなぐのかも確認しておくと安心です。つなぐ仕組みがあるか、引き継ぐときにどんな情報(片付ける物の量、作業場所の条件、予算や期限など)をそろえる必要があるかを聞いておきましょう。
④ 契約条件
契約の内容は、開業後に変えることが難しい部分です。次の点を書面で確認しましょう。
- 契約期間と、更新の条件
- 途中で解約する場合の条件と、違約金の有無
- 営業できるエリア(商圏)の決まり
- 外注先や仕入れ先などを本部が指定するかどうか
口頭の説明だけで判断せず、契約前に条件を書面で受け取り、不明な点は質問して解消しておきましょう。
⑤ 見積もり・契約トラブルを防ぐ仕組み
遺品整理では、料金や品物の扱いをめぐるトラブルが起きることがあります。国民生活センターは、次のような相談事例を紹介しています。
- 当初は約20万円と聞いていたのに、作業後に30万円を請求された
- 残す約束をしていたアルバムなどまで処分された
そのうえで、依頼する人に向けて、複数の事業者から見積もりを取ることや、契約の条件を確認することなどを助言しています。
(出典:国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」2025年10月30日公表)
加盟店は、依頼者からこうした点を確認される立場になります。本部には次のことを確認しましょう。
- 見積書や契約書の書式が用意されているか
- 追加料金が発生する条件を、作業前にどう説明するルールになっているか
- 残す物と処分する物を、依頼者とどのように確認する手順になっているか
- トラブルが起きたとき、本部がどこまで対応するか
⑥ 買い取った品の売り先
遺品の中に買い取れる品物があると、処分する量が減り、買取額を作業費から差し引けば依頼者の負担も軽くなります(収益への影響は「遺品整理業を開業するには?」で解説しています)。なお、前述の国民生活センターの注意喚起でも、遺品を買い取る事業者には古物商の許可が必要とされています。
買取を行う場合は、次の点を確認しましょう。
- 買い取った品物を、本部が買い取るのか、加盟店が自分で販売するのか
- 買取額を作業代金から差し引く運用か
- 査定に不安がある場合の支援があるか
- 加盟店が自分で買取を行う場合、必要な許可とその取得について、本部はどう案内しているか
費用は「総額」と「毎月の支払い」で比べる
費用は、開業時にかかる費用と、開業後に毎月かかる費用に分けて比べます。初期費用が安くても、毎月の支払いが重ければ、手元に残るお金は少なくなります。
- 開業時にかかる費用の例:加盟金、保証金、研修費、車両、資材・道具、保険、開業時の集客費
- 毎月かかる費用の例:ロイヤリティ、システム利用料、本部紹介案件の手数料、車両の維持費、人件費、集客費
費目の有無や名称は本部によって異なります。上の費目は比べるときの例として使い、実際の項目は各本部の資料で確認してください。
本部が示す金額を比べるときは、次の点もそろえて確認しましょう。
- 税込か税抜か
- 返還される費用があるか、ある場合の条件
- 本部に支払う費用とは別に、自分で用意する費用(車両、保管場所など)は何か
- ロイヤリティなど毎月の支払いは定額か、売上に応じて変わるか
受注が安定するまでの運転資金も見込んでおきましょう。資金計画の考え方は「遺品整理業を開業するには?」で解説しています。
儲かるかは「収支例の前提」で判断する
遺品整理のフランチャイズで利益が出るかどうかは、本部の条件、地域、担う業務の範囲、集客の状況によって大きく変わります。本部が示す収支例は、どんな前提で計算されているかを確かめて判断しましょう。売上とコストの構成は「遺品整理業を開業するには?」で解説しています。フランチャイズの場合は、ここにロイヤリティなど本部への支払いが加わります。
本部から収支例を示された場合は、次の前提を確認しましょう。
- 1か月の案件数と、1件あたりの単価をいくらと置いているか
- 作業人数や稼働日数をどう見込んでいるか
- 買取による収益を含めているか
- ロイヤリティや手数料、処分費などを差し引いた後の数字か
- 既存の加盟店の平均なのか、一部の店舗の例なのか
前提を確認すると、自分の地域や働き方に当てはめたときに、同じ結果が見込めるかを考えやすくなります。
フランチャイズで始めるメリットと注意点
メリットと注意点は、本部によって異なります。説明会で次の点を確かめ、自分の場合に当てはまるかを判断しましょう。
メリットとして説明されることがある点(実際に受けられるかを確認する)
- 本部のブランドや知名度を使えるか
- 集客の支援を受けられるか
- 研修や開業後の相談で、未経験の業務を学べるか
注意したい点(本部ごとに確認する)
- ロイヤリティが定額の場合は、売上が少ない月にも支払いが発生する。定額か売上連動か、有無を含めて確認する
- 本部紹介案件がある場合、断れるか、自分で獲得した案件と同時に受けられるか
- 外注先や仕入れ先の指定があるか、運営のルールはどこまで決められているか
- 契約期間中に解約する場合の条件と違約金
説明されたメリットが、実際に自分の地域や担う業務で受けられるのかを、①〜⑥の確認ポイントで具体的に確かめましょう。
本部を比べて選ぶ進め方(資料請求から契約まで)
本部を比べて加盟先を決めるまでの、一般的な進め方の例です。順序や内容は本部によって異なります。
- 複数の本部から資料を取り寄せる
- 説明会や面談に参加し、6つの確認ポイントを質問する
- 回答をできるだけ書面で受け取り、本部ごとに並べて比べる
- 既存の加盟店の話を聞けるか、本部に相談する
- 契約書を読み、不明な点を解消してから契約する
- 研修を受け、開業の準備を進める
契約する前に、本部ごとに次の8項目を確認したか、回答を書面で受け取ったかも含めて見直しましょう。
- □ 業務範囲と、許可が必要な業務の担い手を確認した
- □ 研修と、開業後の支援を確認した
- □ 集客支援、紹介案件の条件、相談の引き継ぎ方を確認した
- □ 契約・解約の条件を確認した
- □ 見積書・契約書と、トラブル時の対応を確認した
- □ 買取品の売却先と、査定の支援を確認した
- □ 初期費用の総額と、別途かかる費用を確認した
- □ 毎月の支払いと、収支例の前提を確認した
許可や税務の手続きなど、開業そのものの準備の流れは「遺品整理業を開業するには?」を参考にしてください。
よくある質問
遺品整理のフランチャイズは儲かりますか?
本部の条件、地域、担う業務の範囲、集客の状況で大きく変わるため、一概には言えません。本部が示す収支例は、案件数・単価・人員などの前提と、費用を差し引いた後の数字かを確認して判断しましょう。
フランチャイズはやめたほうがいいですか?
一律に言えるものではありません。本部の支援を活かせるか、ロイヤリティなどの支払いを含めて計画が成り立つかで判断します。複数の本部を同じ観点で比べ、契約条件を書面で確認してから決めましょう。
未経験でも加盟できますか?
加盟の条件や研修の内容は本部によって異なります。未経験者を受け入れているか、研修で見積もりや作業、査定までを学べるか、開業後に相談できる体制があるかを、本部に確認しましょう。
まとめ
- 遺品整理のフランチャイズは、担う業務の範囲、許可が必要な業務の担い手、支援の中身、費用の構造が本部によって異なる場合があります。
- 本部を比べるときは、①業務の範囲と許可が必要な業務を誰が担うか、②研修、③集客と案件のつなぎ方、④契約条件、⑤トラブルを防ぐ仕組み、⑥買い取った品の売り先、の6つを確認しましょう。
- 費用は開業時と毎月の支払いに分け、税込・税抜や別途かかる費用もそろえて比べます。
- 収支例は、案件数・単価・人員などの前提を確かめてから判断します。
- 複数の本部から資料を取り寄せ、回答を書面で受け取って比べてから契約しましょう。
参考にした公的資料・公式情報
- 独立行政法人国民生活センター「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」(見守り新鮮情報 第525号、2025年10月30日公表)
- 総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(令和2年3月)
(確認日:2026年10月28日)
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